当サロンオーナー、田中義明によるエッセイ

作家の有名度が作品の価値を決める?

 ニューヨークのメトロポリタン美術館の前にあるフランス文化センターのホールに飾られていた小さな大理石の少年の像が、実はミケランジェロの作品であったということで大変注目を集めています。

 その少年像は作者不明のまま長い間その場所に飾られてきたのですが、パーティなどで集まる多くの文化人(その中には美術が専門の人もいたでしょう)の視野に入りながらも、ほとんど注目されることはなかったそうです。これからは棚などが設けられて、少し離れたところからうやうやしく鑑賞されることになるでしょう。

 フランス文化センターは大変な掘出し物をしたわけですが、少年像はおそらくこうぼやいているでしょう。「ぼくは長年ここに立っていて何も変っていないのに、一夜にしてぼくはかけがえのない大変な貴重品に祭り上げられてしまった。ぼく自身ではなく、ぼくのお父さんを通してしかぼくを評価してくれないんだ。」

 どの作品がより優れているかがなかなか分かりにくい芸術品の評価では、作家の有名度をある程度基準にして作品の価値を評価せざるをえない面があるのはやむを得ないかも知れません。しかし、有名な作家にもそれほどでもない作品があるし、無名の作家にも素晴らしい作品があることがあります。

 私達も、もっと作家と切離して一つ一つの作品を公平に鑑賞するようにすべきでしょう。