当サロンオーナー、田中義明によるエッセイ

フランス美術館巡り(8)シャガール美術館

 マチス美術館から歩いて行ける距離にシャガール美術館があります。ここもニースの古い高級住宅地で、「これが美術館?」と思うようなしゃれた造りの建物に小さくシャガール美術館と書いてありました。シャガール自身が基本的なデザインをした美術館で、美術館と展示作品が一緒になって一つのアートとなっています。

 館内はシャガールの意向で全て自然光で鑑賞できるようになっています。旧約聖書を題材にした17枚の油絵は圧巻でした。キリスト教文化に馴染みのない私達は、西欧の美術館の多くの壁面を埋めている宗教画には正直いって疲労感すら感じていたのですが、同じ宗教画でもシャガールの絵には何かほのぼのとしたものを感じさせられます。

 奥の部屋では、生前の彼の仕事ぶりや美術を志す若者達への彼のメッセージを送る映像が見られます。最後の部屋に足を踏み込むと、そこは礼拝堂兼音楽の小ホールのようで、一つの壁面が巨大なステンドグラスになっていました。彼の絵がもとになっているのですが、かなり濃い色を使っているため部屋の中は薄暗く、椅子にすわっている数人の人からいびきが聞こえました。舞台に置いてあるグランドピアノのふたが立てられており、そこにも彼の絵が描かれているのを見てその徹底ぶりに驚かされました。