当サロンオーナー、田中義明によるエッセイ

フランス美術館巡り(2)ルノアール記念美術館

 ニースから車で30分位の所にカーニュという小さな町があり、そこのコレット荘という別荘でルノアールは64才から没するまで14年間リューマチの苦しみに耐えながら晩年の制作に当りました。今は市が買い上げて美術館として公開しています。

 コレット荘は、広い庭から中世の城郭都市カーニュ・シュル・メールを見上げることができ、また地中海を見下ろすことのできる風光明媚な温暖な場所にあります。ここでルノアールが絵筆を腕に巻きつけ、車椅子に乗ってあの豊満な女性像を描き続けたのだなあと思いました。

 ルノアールの晩年の作品をみると似た女の人が度々登場します。お手伝いとして呼び寄せた夫人のいとこのガブリエルではないかと思います。

 真丸い顔、太り過ぎと思われる体、日本人の感覚では決して美人の部類に入らないのだろうけれど、ルノアールの筆にかかるといかにも愛らしく、エロティックで、豊じょうな母なる大地を思わせる女性になるから不思議です。

 彼はこの女性に愛を感じていたからこそ、死ぬまで強い制作意欲を持ち続けることができたのだろうと勝手に想像しながらコレット荘を後にしました。