当サロンオーナー、田中義明によるエッセイ

フランス美術館巡り(10)リヨン市立美術館

 ローヌ川とソーヌ川の合流点に位置するリヨンは2000年以上の歴史を持つ旧市街とモダンなビジネス都市とその中間の街とが川を境いにはっきりと分れています。

 旧市街の小高い丘の上にあるノートル・ダム寺院まであえぎながら登っていくと、そこには2つの川とそれを境いに明らかに屋根の色や形が異なるリヨンの全景が待っていました。このグラジュエイションはアートだなと思いました。

 市立美術館は大きな中庭を持つ古いやや汚れたビルでした。ギリシャ・ローマ時代のものから現代美術のはじまり頃までの作品を驚くほど沢山展示していました。大きな美術館なのに飾り切れないのか2段、3段に飾っているのには驚きました。その中にはただ1人の日本人画家として藤田嗣司の作品もありました。

 映像芸術の企画展もやっていたので入ってみました。2部屋目はなんと真暗、足もとすら見えません。気味が悪くなってすぐ出てしまったら、切符切りのおじさんが手を引いて案内してくれました。人が歩くと映像が映り、遠くから1人の人が歩いてきて、私達がそこを通り過ぎると映像の人もくるりと後ろ向きになって去っていくのでした。部屋を一巡りする間に何人もの人が近づいては去りました。部屋を出る頃には少し眼が慣れて、部屋がぼんやり見えるようになりました。