当サロンオーナー、田中義明によるエッセイ

アメリカの美術館・ギャラリー巡り(3)

(3)ギャラリー

 アメリカにも日本と同じように個人あるいはグループの展覧会を中心とするギャラリーと、売れそうな絵を壁一杯にところ狭しと飾っている商店的なギャラリーとがあります。前者のタイプには、日本では企画画廊と貸画廊があるのですが、アメリカには貸画廊はほとんどないので、画廊から声を掛けられないアーティストは、道路や公園などで自ら青空ギャラリーを開くしか発表の場を得られません。

 今回の旅行では青空ギャラリーも含めて多くのギャラリーを見てきましたが、美術館で見たような巨大な作品を展示しているギャラリーは少なく、住宅にでも飾れるような大きさの絵が中心でした。既に有名になった作家の作品を展示しているギャラリーでは多くの抽象画も飾っているのですが、新しい作家の作品は具象がかったものが多いように思えました。とくにどぎつい色を使って人物をマンガチックに描いたものが目立ち、赤丸(売れた印)が沢山ついていました。美術館で見るような抽象画に欲求不満になっていたアート・ファンの受けを狙ったものでしょうが、いかにも悪趣味という感じで、私どものギャラリーで日本のアート・ファンに紹介したいと思いませんでした。

 いくつかの青空ギャラリーなどでこれは結構いけると思って作家に声をかけると韓国人であったり、中国人であったりで、現代アートでも東洋の絵画の伝統を基礎に持っている人たちでした。

 アメリカの英雄的アーティストたちを生み出したニューヨークのソーホー地区も、店じまいをするギャラリーが多く、むしろアジアに近いシアトルやサンフランシスコの方が活気がありました。現代アートについても日本を含めたアジアが発信基地にならねばと強く感じました。