当サロンオーナー、田中義明によるエッセイ

アメリカの美術館・ギャラリー巡り(2)

(2)20世紀中心の美術館

 現代アートを中心に企画展をやっている画家のオーナーなのにニューヨークに行ったことがないということに、若干引け目を感じていたのですが、巨大さと新規性(特に珍奇性)を追い求める戦後アメリカの現代アートの主流には疑問を持っていたので、なかなか足が向かなかったのです。今回思い切って来てみて、その疑問はますます深まりました。

 アメリカには20世紀の美術とくに戦後の現代アートを中心に展示している美術館が沢山ありますが、今回行ったのはニューヨークの近代美術館、グッゲンハイム美術館、ホイットーニー美術館などです。メトロポリタンのような総合的な美術館ほどではないにしても、結構お客は入っていましたが、ニューヨーク観光の一環としてアメリカが誇る現代アートの名作といわれる作品を一度見ておこうという人たちが中心のように思えました。

 ポロック、クーニング、ロスコ、ステラ、スティル、デュビュッフェ、リキテンシュタイン、ジャスパー・ジョーンズ、アンディ・ウォーホルなどといった名だたる作家の巨大で乱暴な作品を前にして、アメリカの人々は何も思っているのでしょう。

 これは私のこじつけなのですが、ヨーロッパ美術を模していた今世紀初頭までのアメリカ美術のレベルの低さ、アメリカの料理の量の多さと大味な味つけと乱暴な盛り付けにヒントがあるように思いました。武力、経済力、政治力で世界のリーダーであるアメリカが、美術の面でも短期間にヨーロッパに追いつき追い越すためには、不器用さをカバーする新たな評価基準を持ち込む必要があったのです。それが「大きいことは良いことだ」「変ったことは良いことだ」だったのではないでしょうか。国家の威信をかけてそれを推進した結果をアート・ファンは見せられているのです。