当サロンオーナー、田中義明によるエッセイ

アメリカの美術館・ギャラリー巡り(1)

(1)総合的な美術館

 4月末から2週間ほどアメリカの美術館とギャラリーを巡ってきましたので、3回にわけてご報告します。

 ルネッサンス以前から現在までの絵画・彫刻を幅広く展示しているアメリカの総合的な美術館といえば、ニューヨークのメトロポリタン美術館、ワシントンのスミソニアン国立絵画館、ボストンのボストン美術館が代表的です。

 まずメトロポリタン美術館に行ったのですが、迷子になるような広大なスペースに画集でよく見かける素晴らしい名作があちこちに散りばめられていて、つい足が止まってなかなか先に進めません。アメリカの現代アートの展示室に辿りつく頃には、足も頭もくたくたで、ゆっくり鑑賞する余力が残っていませんでした。

 次のスミソニアンとボストンでは、逆に現代アートから時代を遡って見ていきました。そこで気がついたのですが、ピカソやマチスのあたりにくるとほっとした気分になり、印象派やレアリスムの部屋まで辿りついた時には、なにか居心地の良さする感ずるのです。現代アートの鑑賞が疲れるのは、見る順序だけではなかったのです。いずれの美術館にも周辺に水と緑の豊かな散策の空間があって、美術酔いを醒ますのに好都合でした。

 それはともかくとして、イタリアやフランスなどヨーロッパが中心であった今世紀初めまでの作品についても、その収蔵作品の充実ぶりには目を見張るものがあります。美術後進国であったアメリカで1870年に最初の国立美術館としてスタートしたメトロポリタンの現在の収蔵作品は300万点、その殆どがコレクターからの寄贈というのですから、アメリカの底力に驚嘆せざるをえません。