当サロンオーナー、田中義明によるエッセイ

メキシコの美術(2)

 リベラ、シケイオス、オロスコ、タマヨといったところがメキシコの4大巨匠とされており、国立芸術宮殿は彼等の大作でうまっています。この中で私共には数年前に亡くなった一番後の時代のタマヨの作品がなじみやすいように思いました。メキシコ絵画の強烈性は少ないかわりに何ともいえない柔らかさ、温かさがあるからでしょう。

 タマヨについては最近立派なルフィーの・タマヨ美術館が出来ました。比較的小さな作品が展示されていたのですが国立芸術宮殿の大作に至る過程が分って大変興味深く、私達もタマヨの大ファンになってしまいました。タクシーの運転手に頼んで、スペインの植民地時代をほうふつとさせるコロニアル風の住宅街にあるタマヨの家を見に行ってきました。

 またもう1人の巨匠リベラの作品については、ディエゴ、リベラ美術館で彼の小品やお化けのような彫刻の数々を見ることができましたが、なんといっても圧倒的な迫力を持っているのは大学や劇場、宮殿などの巨大な壁画です。数十メートル離れないと全体像が分からないような大壁画を絵筆で画きあげたのですから制作過程は大変だっただろうと思いました。

 リベラの妻フリーダ・カーロもメキシコでは大変人気のある作家で、フリーダ・カーロ美術館には、フリーダの作品の他に、彼女とリベラとの数々の遺品が当時のままの状態で遺されていました。

 病気がちだったフリーダの作品は、それを反映して深刻な絵が多く、その背景を知らなくてはなかなか親しめません。

 風景画のように、絵だけを見てこれは素晴らしいと評価できる場合は別として、メキシコの多くの作品には作家の強烈なメッセージが込められているので、その絵が描かれた時の社会や作家自身の状況をある程度知らないと鑑賞が難しいようです。