当サロンオーナー、田中義明によるエッセイ

ベルギー・オランダ美術の旅(1)

 これまでも内外の旅行で訪れた美術館やその展示作品について私たちなりの感じた事をご紹介してきましたが、今回はかつてネーデルランドとして一つの国であったベルギーとオランダの美術について紹介しましょう。ネーデルランドは、イタリア、フランス、スペインを中心とするヨーロッパの南方美術に対し、北方美術として西洋美術史の中で重要な役割を果たしてきました。

 特にルネッサンス期にはヴァン・エイク、メムリンク、ブリューゲルなどがフランドル美術の花を咲かせ、17世紀のバロック美術はリューベンス、レンブラントなどむしろネーデルランドが中心であったといっても過言ではありません。後期印象派のヴァン・ゴッホ、シュールレアリスムのポール・デルボー、ルネ・マグリッドなども輩出しています。

 ブリュッセルにある王立美術館でマグリッド生誕100年を記念した特別企画展をやっていたので、これは見逃せないと行ってみたらどうでしょう。売り切れで20日後の2時からの券ならあるというではありませんか。世界中から主要な作品を一堂に集めた大規模な自国作家の展覧会とはいえ、これには驚きました。

 日本で一時間以上も並んだ上、満員電車のような状況でモナ・リザやミロのビーナスを鑑賞したことのある私どもの感覚からすると、芝居のように時間で入場券を売るということは予想もしていませんでした。しかしこれが本当なのかもしれません。結局マグリッドに関しては常設展に展示されている数点の作品を鑑賞し、企画展はカタログを買うことで諦めました。